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26.04.29お知らせ

医療業(クリニック)の経営改善・事業再生を考える 〜「それ、うちのクリニックだ」と気づくところから始めよう〜

医療業(クリニック)の経営改善・事業再生を考える 〜「それ、うちのクリニックだ」と気づくところから始めよう〜

クリニックを経営する先生方、日々の運営でこんなお悩みはないでしょうか。

  • 患者さんは来ているはずなのに、手元にお金が残らない
  • スタッフの採用と退職が繰り返され、人件費がかさむ一方
  • 診療に集中したいのに、経営のことが頭から離れない
  • 設備投資の返済が重くなってきた

医師として開業するまでに積み上げてきた努力は計り知れないものがあります。
でも、医療の腕と経営の腕は、また別の話。
「気づいたら収支が苦しくなっていた」というケースは、決して珍しくありません。

経営改善・事業再生を数多く支援してきた中小企業診断士の視点から、クリニック経営に役立つ考え方と、実際によくある改善事例をご紹介します。

1. 「1日の患者数」を目標として持てていますか?

クリニックの収入は、診療報酬によって単価がほぼ決まっています。
つまり、収益を上げるには「患者数を増やすこと」が最大のポイントです。
統計データによれば、一般診療所の1日あたりの患者数は平均30人前後。
効率のよいクリニックでは、1日40人以上を診ているケースも多くあります。

  • 今、1日に何人の患者さんが来ているか把握できていますか?
  • 初診患者と再診患者の内訳は?
  • 診療時間帯のどこに余裕があり、どこが詰まっているか?

こうした「数字で見る自院の状態」が、経営改善の出発点になります。

改善事例

ある内科クリニックでは、「そこそこ忙しいが収益が上がらない」状態が続いていました。
改めて1日あたりの患者数を曜日別・時間帯別に整理すると、午後の診療時間帯に極端に患者が少ない時間が発生していることが判明。
受付の予約調整の仕方を見直したところ、患者数が増加し、同じスタッフ数で収益が改善しました。
「なんとなく忙しい」と「数字で見る」は、全く別物です。

2. 人件費率が「高すぎないか」を確認しましょう

クリニックの人件費率の目安は、売上(医業収益)の50%前後といわれています。
これを大きく上回っている場合は、経営改善の重要なサインです。
ただし、「人を減らす」という発想は危険です。
医療は人が主役のサービスですので、スタッフが減れば診察の質が下がり、患者数の減少につながる悪循環になります。
大切なのは、「人の数」より「人の動き方」を見直すことです。

  • 看護師が受付業務や会計業務に追われていないか
  • 事務作業に時間がかかりすぎていないか
  • 院長以外の医師・スタッフの役割分担は適切か

改善事例

ある老舗クリニックでは、人件費率が60%を超えていました。
原因を探ると、会計の締め作業が毎日長時間かかっており、スタッフ全員の残業が常態化していることが判明。
医療会計システムの導入と自動精算機の設置を進めたところ、患者の待ち時間も大幅に短縮され、スタッフの残業も減少。
人件費率は55%まで改善し、職場の雰囲気も明るくなりました。
「忙しい」の原因は、意外なところに潜んでいます。

3. 「役員報酬」と「本当の利益」を分けて見ていますか?

クリニックの決算書を見るとき、一つ注意が必要なことがあります。
それは、院長先生の報酬が経費として計上されているため、「見かけ上の利益」と「実際の収益力」がずれやすいということです。

たとえば、

  • 役員報酬(院長の給与)
  • 配偶者やご家族への給与
  • 院長個人所有の土地・建物をクリニックが賃借している場合の地代家賃

これらは合法的な経費ですが、実態としては院長先生の報酬に近い性質のものです。
これらを合わせて「実質的な収益力」を把握しないと、本当にクリニックが儲かっているかどうかが見えてきません。

改善事例

ある歯科クリニックでは、決算書上の利益は少ないものの、資金繰りは何とか回っているという状況でした。
実態を整理すると、院長・配偶者の報酬・地代家賃の合計が実際の収益力を圧迫しており、借入返済の余裕がほとんどないことが判明。
報酬体系の見直しと、不要な経費の精査を行ったことで、財務が安定し、設備投資のための借入が可能な状態に改善しました。
「利益が少ない=経営が苦しい」とは限りません。数字の中身を一緒に読み解きましょう。

4. 患者さんに「また来たい」と思われていますか?

診療報酬が公定価格である以上、クリニック間で「価格競争」は起こりにくいのが現実です。

では、患者さんはどこで選ぶのか。
それは「先生やスタッフとの相性」「待ち時間」「院内の雰囲気」です。
特に、内科・小児科・心療内科などは「また先生に診てもらいたい」という感情的な動機が再来院に直結します。

  • 受付スタッフの対応は丁寧か
  • 待合室の雰囲気は清潔で居心地よいか
  • 院長先生の説明はわかりやすいか

これらは「医療の質」とは別の話ですが、患者数に直接影響する、経営上の重要な要素です。

改善事例

ある小児科クリニックでは、医師の腕は評判なのに再来院率が低いという課題がありました。
ヒアリングすると、「受付スタッフの電話対応が冷たい」という声が複数あることが判明。
スタッフへの接遇研修と、予約システムの見直しを行ったところ、口コミ評価が改善し、患者数が増加に転じました。
医療の質とホスピタリティは、車の両輪です。

5. 設備投資は「返せる金額」で計画されていますか?

最新の医療機器や内装リニューアルは、集患にも有効な差別化要因になります。
一方で、設備投資の返済に追われて資金繰りが苦しくなるクリニックも少なくありません。
ポイントは、投資前に「この投資で何人患者が増えるか」「返済に何年かかるか」をきちんと試算することです。

  • 投資額に対して、何年で回収できるか
  • 毎月の返済額は、現在の診療収入で無理なく払えるか
  • 最悪のシナリオ(患者数が増えなかった場合)でも返済できるか

改善事例

ある眼科クリニックでは、最新の検査機器を導入したところ、月々の返済負担が重くなり、資金繰りが急激に悪化しました。
事業計画を改めて整理し、一部設備をリースに切り替えること、および診療報酬加算が取得できる体制整備を同時に行うことで、収支バランスを回復させることができました。
「良い機器を入れれば患者が来る」は、前提を確認してから進めましょう。

おわりに

クリニックの経営改善・事業再生は、決して特別なことをする必要はありません。

  • 1日の患者数を数字で把握する
  • 人件費率の水準と原因を確認する
  • 役員報酬を含めた実質的な収益力を見直す
  • 患者さんに「また来たい」と思われる環境を整える
  • 設備投資は返済計画とセットで考える

これらを自院の実情に合わせて少しずつ実践するだけで、数字にも、現場にも、確実に変化が現れます。

「うちのクリニックでもできそうだ」

そう感じたところから、経営改善はもう始まっています。
ひとりで悩まず、ぜひ一度ご相談ください。親身にお話をお聞きします。

あなたのビジネスをミギナナメウエへご支援します。
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