
宿泊業を営む経営者の皆さん、日々の経営でこんなお悩みはないでしょうか。
外部環境の変化が激しい今だからこそ、「感覚」ではなく「数字と現場」で自社を見直すことが、経営改善・事業再生の第一歩になります。
経営改善・事業再生を数多く支援してきた中小企業診断士の視点から、宿泊業の経営改善に役立つ考え方と、実際によくある改善事例をご紹介します。
宿泊業ではまず、「どのプラン・どの部門が儲かっているのか」を把握できているかが重要です。
売上は見ていても、
の利益まで把握できていないケースは少なくありません。
ある老舗温泉宿では、「お客様が来ている=儲かっている」と思い込んでいました。しかしプラン別・部門別に限界利益率を整理してみると、値引きして販売していた低単価プランが収益を圧迫しており、逆に連泊の湯治プランが利益を支えていることが判明。そこで低単価プランを廃止し、強みである鉱泉を活かした健康・湯治プランを中心に据えた結果、稼働率は横ばいでも営業利益が大幅に改善しました。
「お客様が多い=良い状態」ではないと気づけたことが転機でした。
コストが高い、と一言で言っても原因は様々です。
これをコスト構成として見える化することで、打ち手が明確になります。
ある温泉宿では、「とにかくコスト全体が高い」と感じていました。しかしコストを分解すると、実際はフロント・配膳・清掃がそれぞれ縦割りになっていることで、アイドルタイム(手待ち時間)が多発し、人件費の無駄が生じていることが判明。マルチタスク化によるシフト見直しと、予約管理システムの導入でバックオフィス業務を効率化した結果、スタッフ1人あたりの生産性が向上し、安定的な利益が出る体質に変わりました。
コストは「下げる」前に、まず正体を知ることが重要です。
宿泊業の経営改善で欠かせないのが、現場を見ることです。
こうしたムダは、現場に立つと驚くほど見えてきます。
ある温泉宿では、経営者が現場を改めて観察した際、「チェックイン対応に人手が集中する一方、それ以外の時間帯にスタッフが余っている」ことに気づきました。チェックイン機と自動釣銭機を導入してフロント業務を省力化し、空いた時間をお客様への接客・案内に充てるよう業務を再設計したところ、顧客満足度が向上し、リピーター率も改善しました。
改善のヒントは、会議室ではなく現場にあります。
売上の多くを特定のプランや客層に依存していると、
が起きた瞬間に経営が揺らぎます。まずはプラン別・集客チャネル別の売上構成を冷静に確認しましょう。
ある温泉宿では、売上の大部分をOTA経由の低単価プランに依存していました。手数料負担が重く、価格交渉でも不利な立場に置かれていたため、自社の強みである鉱泉の効能を前面に打ち出したリピーター向け直販プランの展開を開始。口コミとSNSを活用して固定客を育てた結果、OTA依存度が下がり、経営の安定性が大きく向上しました。
「予約が多く入るチャネル=安全」とは限りません。
中小の宿泊施設には、大手チェーンにはない
があります。それを「当たり前」と思わず、経営資源として再評価することが重要です。
「古い温泉宿でしかない」と自信を失いかけていた施設が、長年愛されてきた鉱泉の効能と老舗としての歴史を武器に、健康増進・湯治を目的とするシニア層へターゲットを絞り直しました。客単価を大幅に引き上げながら「ここにしか来られない理由」を明確にした結果、価格競争から脱却し、利益率の高い安定経営を実現しました。
強みは、意外と足元にあります。
宿泊業の経営改善・事業再生は、決して特別なことをする必要はありません。
これらを自社の実情に合わせて少しずつ実践するだけで、数字にも、現場にも、確実に変化が現れます。
「うちの会社でもできそうだ」
そう感じたところから、経営改善はもう始まっています。
「売上はあるのに返済が苦しい」「人手が足りず現場が疲弊している」といったお悩みをお持ちの経営者様は、手遅れになる前にご相談ください。
貴社の現状を客観的な数値で分析し、会社と従業員を守り抜くための最適な道筋をご提案いたします。