前回のコラムに続き、今回は建設業を営む経営者の皆さんにお尋ねします。
日々の経営でこのようなお悩みはないでしょうか?
「まさにうちのことだ」と思われる方も多いでしょう。
建設業は、売上規模が大きい反面、資金の動きが激しく、少しの判断ミスが経営に直結する業界です。
だからこそ、“現場と数字を見える化”し、改善の糸口を探ること が大切です。
ここでは、建設業の経営改善に役立つ考え方と具体的な事例をご紹介します。
「工事さえ取れればなんとかなる」と思いがちですが、赤字工事を重ねれば会社全体の体力は確実に削られます。
ある建設会社では、工事ごとに損益を把握していませんでした。そこで、現場別・工種別に実行予算と原価を管理する仕組みを導入。赤字案件を早期に把握できるようになり、2年で営業利益率を3%改善しました。
積算や見積が曖昧だと、受注段階から赤字が決まっているような工事も生まれてしまいます。
ある中堅建設会社では、過去の工事データをもとに歩掛を再整理。見積に反映したところ、受注単価が平均5%上昇しました。さらに、現場の実行予算との乖離が減り、社員の意識も「数値で管理する」方向に変化しました。
建設業も運送業と同じく人材不足が大きな課題です。安易なリストラや現場負担の押し付けは逆効果で、人材流出を招きます。
ある企業は退職率の高さに悩んでいましたが、ドローンやICT施工を導入して業務負担を軽減。同時に、若手社員に技術研修を提供しました。結果として「働きやすさ」と「やりがい」が両立し、離職率は半減しました。
労働力確保のため外国人技能実習生を受け入れる会社も増えていますが、「安価な労働力」とだけ見なすのは危険です。
ある建設会社では、外国人実習生をチームの一員として扱い、母国語でのマニュアルを整備し、文化行事にも参加させました。その結果、彼らの定着率が向上し、現場の生産性も改善しました。
公共工事や民間工事の需要が減少する中で、低コスト工法や環境対応工事は確実に伸びる分野です。
ある会社では、管更生工事(既存管を延命する工法)の技術を早期に導入。受注件数が伸びただけでなく、「新しい技術に対応できる会社」として自治体や元請からの評価が上がり、売上の安定化につながりました。
建設業の経営改善は、外部環境のせいにしても進みません。
改善は“自社らしいやり方”で少しずつ積み重ねるのが成功の近道です。
取り組みを始めれば、数字の改善だけでなく、働く人の満足度にも変化が現れます。
「自社に合ったやり方を知りたい」と思われた方は、ぜひご相談ください。