トラック運送業を営む経営者の皆さん、日々の経営でこんなお悩みはないでしょうか
外部環境が厳しい今だからこそ、自社の経営を“見える化”して改善の糸口を探ることが大切です。
経営改善・事業再生を数多く支援してきた中小企業診断士の視点から、運送業の経営改善に役立つ考え方と具体的な取り組み事例をご紹介します。
ドライバー不足の時代だからこそ、「1人あたりでどれだけ売上を生み出せているか」 の把握は必須です。
ある中堅の運送会社では、ドライバー1人あたりの売上を月次で集計・共有しました。その結果、「どの路線が高収益か」「どの車両が赤字要因になっているか」が見える化され、赤字便を廃止。黒字便へシフトしたことで、1人あたり売上が約15%向上しました。
利益悪化のときに人員削減に踏み切る会社もありますが、安易なリストラは逆効果。定着率を高める工夫こそが、長期的には経営を安定させます。
ある小規模事業者は、退職者が相次ぎ困っていました。原因を探ると「勤務シフトが不透明」「休みがとりづらい」ことが不満の中心でした。そこで、配車システムを導入し、休日希望を事前に反映する運用に切り替え。結果的に離職率が半減し、採用コストも削減できました。
中小の運送業にとって、スポット便や飛び込み案件をうまく組み合わせるのは生命線。そのカギを握るのが配車係です。
ある地域の運送会社では、配車係の判断が属人的で、経験豊富な1人に頼り切りでした。そこで、案件情報をExcelからクラウド管理に切り替え、チーム全体で情報を共有。属人化を防いだことで、効率的な車両運用が可能になり、燃料費が前年比10%削減、売上も安定化しました。
燃料費は外部要因のため、完全にコントロールすることはできません。しかし「付き合いだから」と漫然と給油先を決めていると、知らないうちに大きな損失を招きます。
ある事業者では燃料カードを複数比較し、提携スタンドを切り替えるだけでリッターあたり10円安くなりました。年間で試算すると、約300万円のコスト削減効果が出ています。
大手荷主1社に依存すると、取引条件が変わった瞬間に経営が揺らぎます。
ある運送会社は売上の8割を1社に依存していました。取引先との関係悪化で危機的状況となったのを機に、配車係を中心に新規荷主の獲得に動きました。地元メーカーや物流会社との小口契約を積み重ね、結果的に依存度を50%以下に低減。経営の安定性が高まりました。
いかがでしょうか
トラック運送業の経営改善は、外部環境を嘆いても進みません。
これらの取り組みを「自社の現場に合わせて」少しずつ実践するだけで、数字にも人にもプラスの変化が現れます。
「うちの会社でもできそうだ」と思った方は、ぜひチャレンジしてみてください。