
介護事業を営む経営者の皆さん、日々の経営でこんなお悩みはないでしょうか。
介護という仕事は社会的に非常に意義があり、地域にとって欠かせない存在です。
だからこそ、「使命感だけで乗り越えようとしている」経営者も少なくありません。
でも、使命感と経営は、両立できます。
「数字と現場」を同時に見直すことが、経営改善・事業再生の確かな第一歩になります。
経営改善・事業再生を数多く支援してきた中小企業診断士の視点から、
介護業の経営改善に役立つ考え方と、実際によくある改善事例をご紹介します。
介護業の収入は、介護保険によって単価がほぼ決まっています。
つまり、収入を増やすカギは「いかに高い稼働率を維持するか」に集約されます。
こうした「稼働率の中身」まで把握できていないケースは、意外に多いものです。
あるデイサービスでは、「利用契約者数は定員近くある」のに赤字が続いていました。
確認してみると、「契約はしているが、実際には来ない日が多い利用者」が多数いることが判明。
利用者一人ひとりが「ここに来たい」と思えるサービスの工夫(レクリエーション充実・スタッフとの関係づくり)に取り組んだところ、通所頻度が上がり、延べ利用者数が増加。経営が黒字に転換しました。
「契約数」と「実際の稼働」は別物です。
介護業のコストの中心は人件費です。
人件費率が60〜70%以上を占めることも珍しくありません。
ただし、闇雲に人件費を削ることは危険です。
人が減ればサービスが提供できず、収入がさらに下がるという悪循環に陥ります。
大切なのは、人件費の「量」ではなく「配置と効率」を見直すことです。
ある訪問介護事業所では、ベテランのヘルパーが移動時間の多い非効率なルートで訪問を続けていました。
担当エリアを整理し直して移動効率を改善したところ、同じ人員で訪問件数を増やすことができ、人件費を増やすことなく売上が向上しました。
「人が足りない」と感じたとき、実は「配置の問題」であることも多いのです。
介護業において、採用・退職の繰り返しはとてつもないコストです。
求人費用だけでなく、新人教育の時間・既存スタッフの負担増・サービス品質の低下など、数字に見えないコストが積み重なります。
なぜ辞めるのかを突き詰めると、よくある理由は以下のようなものです。
大きな給与アップが難しいからこそ、職場の「小さな不満」をひとつずつ解消していくことが定着への近道です。
ある通所介護施設では、毎年10名以上が退職し、慢性的な人手不足でした。
スタッフへのヒアリングを実施すると、「休暇が取りにくい」「業務量が不公平」という声が集中。
シフト管理ルールを見直し、業務分担を明確化したところ、翌年の退職者数が半分以下に減り、採用コストも大幅に抑えられました。
スタッフが「ここで働き続けたい」と思える環境が、経営安定の土台です。
介護報酬は国が決めた公定価格ですが、利用者は選んで来るわけではありません。
ケアマネジャーや地域包括支援センター、病院の退院支援担当など、「紹介してくれる人」との関係づくりが、利用者確保に直結します。
こうした「丁寧な営業活動」を地道に続けることが、稼働率アップの現実的な手段です。
ある特別養護老人ホームでは、入居申込は来るものの、稼働率が低迷していました。
受け入れの可否判断がスタッフ個人の裁量に任されており、入居フローが整備されていなかったことが原因でした。
入居判断プロセスをルール化し、近隣の病院・ケアマネへの定期的な情報提供を始めたところ、問い合わせ数が増加し、稼働率が改善。
現場の従業員のやる気にもつながりました。
「待っていれば利用者は来る」という時代ではありません。
介護報酬には、サービス体制を充実させることで上乗せされる「加算」が数多くあります。
しかし、取れるはずの加算を取れていない事業所は少なくありません。
加算の取得は、収入を増やしながらスタッフの待遇改善にも直結します。
「どんな加算が取れるか」を一度整理してみることが、意外な収益改善につながります。
ある介護事業所では、処遇改善加算の上位区分の取得要件を満たしていたにもかかわらず、「申請が難しそう」と後回しにしていました。
要件整理と書類準備をサポートしたところ、年間数百万円規模の収入増につながりました。
「取れているはずの加算」が眠っているかもしれません。
おわりに
介護業の経営改善・事業再生は、
決して特別なことをする必要はありません。
どれも「当たり前のこと」に見えるかもしれませんが、
現場が忙しいほど、こうした基本が後回しになりがちです。
「うちの会社でもできそうだ」
そう感じたところから、経営改善はもう始まっています。
ひとりで悩まず、ぜひ一度ご相談ください。親身にお話をお聞きします。