
飲食店を営む経営者の皆さん、日々の経営でこんなお悩みはないでしょうか。
飲食業は、毎日休みなく続く「連続性の商売」です。
だからこそ立ち止まって数字を見る余裕がなく、
「気づいたら利益が出ていなかった」というケースが少なくありません。
経営改善・事業再生を数多く支援してきた中小企業診断士の視点から、
飲食業の経営改善に役立つ考え方と、実際によくある改善事例をご紹介します。
飲食業の経営状態は、ある一つの指標を見るだけで大きくつかめます。
それがFL比率です。
FL比率とは、Food(食材費)+ Labor(人件費)が売上に占める割合のこと。
一般的に、この合計を60%以下に収めることが、健全経営の一つの目安とされています。
家賃や水道光熱費といった固定費は、交渉してもなかなか下がりません。
一方でFLコストは、日々の運営で改善できる余地が大きい費用です。
まずはここに注目することが、改善の近道になります。
ある居酒屋では、「忙しいのに利益が出ない」状態が続いていました。
FL比率を計算すると、なんと70%近くに達していたことが判明。
食材の仕入れ先を見直し、ピーク時のシフトを最適化したところ、
FL比率が改善し、同じ売上でもしっかり利益が残る体質に変わりました。
まずは自店のFL比率を知ることが、改善の出発点です。
「原価が高い」と一言で言っても、飲食業の場合は少し工夫が必要です。
飲食店の利益は、メニューの組み合わせで生まれているからです。
たとえば、
このように、原価率の低い「ドル箱商材」をいかに組み合わせて提供するかが、利益を左右します。
業態別の原価率の目安は、おおむね30%前後。
高級・こだわり路線でも35%程度に収めたいところです。
ある定食屋では、「良いものを安く出したい」というこだわりから、
原価率が40%近くまで上がっていました。
看板メニューはそのままに、利益率の高いサイドメニューやドリンクを充実させ、
セット提案を強化したところ、客単価が上がり利益が改善しました。
こだわりを捨てずに、利益を生む組み合わせを設計しましょう。
「来年は売上110%を目指す!」
こうした目標を立てても、実現できないことがよくあります。
なぜなら、売上は**「客数 × 客単価」**に分解して考えないと、
具体的な行動に落とし込めないからです。
このどちらで売上を伸ばすのかを明確にすると、打ち手が見えてきます。
そして、「席数」や「回転率」から考えて、
そもそも実現可能な目標なのかも冷静に判断できます。
ある地下にある創作居酒屋では、新規顧客の獲得に苦しんでいました。
立地が悪く一見のお客さんが入りにくいという制約がありましたが、
外観・看板(ファサード)を工夫して入店のきっかけをつくり、
SNSの写真を充実させて目的来店を促進。
あわせてメニューブックを改善して客単価を引き上げたところ、売上が回復に向かいました。
「売上を上げる」ではなく、「客数か客単価か」で考えるのがコツです。
飲食業は、限られた店舗面積でどれだけ売上を上げるかが勝負です。
そのため、「面積・客席・スタッフ数」のバランスがとても重要になります。
たくさん入れたいからと厨房を狭くすると、調理が回らず回転率が落ちる
席を詰め込みすぎると、接客が行き届かず満足度が下がる
逆に言えば、適正な面積・席数・人数で運営できているお店は、
それだけで強い経営基盤を持っているとも言えます。
あるレストランでは、席数を増やそうと無理な配席をしていましたが、
かえって料理提供が遅れ、回転率が悪化していました。
席数を適正化し、厨房とホールの人員配置を見直したところ、
提供スピードが改善し、結果的に回転率と顧客満足度の両方が向上しました。
「詰め込む」ことが、必ずしも売上アップにはつながりません。
飲食業の経営改善で陥りがちなのが、苦しいときほど安易な値下げや廉価販売に走ることです。
しかし、お店の「格」や「こだわり」こそが、固定客を支える最大の武器です。
これを見失わずに守り抜くことが、長く愛されるお店の条件です。
あるワインと料理が自慢の小さなレストランは、客足が止まった時期に、
店頭での廉価な弁当販売に流れそうになりました。
しかし「お店の格を守る」ことを選び、こだわりの食材を使った
2,000円前後の弁当を、店内で丁寧に手渡しする方式に。
結果、固定客と口コミによる新規客の支持を得て、苦境を乗り切りました。
安売りで失うものは、価格以上に大きいことがあります。
飲食業の経営改善・事業再生は、決して特別なことをする必要はありません。
これらを自店の実情に合わせて少しずつ実践するだけで、
数字にも、現場にも、確実に変化が現れます。
「うちのお店でもできそうだ」
そう感じたところから、経営改善はもう始まっています。
毎日の営業に追われて経営を見直す時間がない、という方こそ、ぜひ一度ご相談ください。
飲食業の現場を理解した中小企業診断士が、親身にお話をお聞きします。